七草粥が胃腸に優しいと言われる理由
1月7日に食べられる七草粥。無病息災とお正月の祝膳で弱った胃を休めるために食べると言われています。七草粥の歴史も古く、平安時代には行われていたようです。
七草を食べて健康を願うのは中国にも残っていて、両親に食べさせて若返ったという言い伝えもあり、親孝行の功徳も説いたとか。
日本にしても中国にしても共通しているのは、「七草を食べれば健康になれる」という点ですね。
なぜ、七草粥を食べたら胃腸に優しくて健康になれるのか? 七草それぞれの栄養や効果を見ていきたいと思います。
春の七草とは
七草粥に入れる春の七草は「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ホトケノザ、すずな、すずしろ」ですね。
それぞれ1つずつ見ていきましょう。
せり
セリ100g当たりに含まれる成分量
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 灰分 | 食物繊維 |
17kcal | 93.4g | 2.0g | 0.1g | 3.3g | 1.2g | 2.5g |
【ビタミン】
カロテン | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | 葉酸 | パントテン酸 | ビタミンC |
1.9mg | 0.8mg | 160μg | 0.04mg | 0.13mg | 1.2mg | 0.11mg | 110μg | 0.42mg | 20mg |
【ミネラル】
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
19mg | 410mg | 34mg | 23mg | 51mg | 1.6mg |
五訂日本食品標準成分表より
100g中93.4gは水分ですので、ほとんどは水でできているんですが、ビタミンは豊富な種類が含まれていて、カリウムや鉄など幅広い栄養素を摂取できます。
そのため胃を丈夫にしてくれて、腸の働きを整えたり、血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果も期待できます。
中国では薬としても利用されていて、乾燥させたセリをお風呂に入れて、血液の循環を良くしたり、リウマチや神経痛などにも良いとされているようです。
なずな
なずな100g当たりに含まれる栄養成分
エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 |
40kcal | 4.3g | 0.1g | 7.0g | 5.4g |
【ビタミン】
ビタミンA | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | 葉酸 | パントテン酸 | ビタミンC |
430μg | 2.5mg | 330μg | 0.2mg | 0.3mg | 0.5mg | 0.3mg | 180μg | 1.1mg | 110mg |
【ミネラル】
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン |
3mg | 440mg | 290mg | 34mg | 92mg | 2.4mg | 0.7mg | 0.2mg | 1.0mg |
なずなもビタミン、ミネラルが豊富で、セリにはないビタミンAや亜鉛、マンガンなども含まれています。
ビタミンA:皮膚を健康に保ち、抵抗力を強める役割
亜鉛:ビタミンAを体の中にとどめて、抗酸化作用の活性化や病気の早期回復
マンガン:骨の生成を促進し、炭水化物や脂質の代謝を行う上で重要な役割
こういった効果が期待でき、そのほかにも下痢や便秘などの胃腸の障害の改善目的で使われることもあり、胃腸に優しい薬草です。
ごぎょう
ごぎょうの栄養成分は書かれていなかったんですが、鼠麹草(そきくそう)という名前で薬としても使われています。
咳を鎮めたり、利尿作用があるので、むくみの軽減などにも使われているようです。
ソキクソウの煎液は鎮咳、去痰、扁桃炎、のどの腫れに有効で、他に利尿作用があるため急性腎炎に伴うむくみの軽減に効果があると言われています。出典 ハハコグサ | 日本薬学会
咳痰に効果があり、風邪の引きやすいこの時期にピッタリの食べ物です。
はこべら
はこべらも詳しい栄養成分は分かりませんが、タンパク質、カルシウム、鉄、ミネラル、ビタミン、サポニン、酵素などが含まれています。
ケガなどに効果的で、止血作用や抗菌作用、鎮痛作用、解毒作用があります。特に口内の痛みに使われていて、歯槽膿漏の予防や歯茎の出血などの改善に使われています。
ホトケノザ
ホトケノザはコオニタビラコのことを指します。
「本草綱目(ほんぞうこうもく)」という中国の薬学著作に「胃腸に良い」とされている薬草です。その他にも食欲増進の効果もあり、美味しくご飯を食べられます。
すずな
すずなは食物繊維やビタミンC、カロテン、アミラーゼなどが豊富に含まれています。
食物繊維には腸内環境を整える効果がビタミンCには抗酸化作用や免疫力を向上する働きがあります。
カロテンは動脈硬化を予防したり免疫機能を正常に保つ働きがあり、アミラーゼにはデンプンの分解を促してくれるので、栄養の吸収を助けてくれます。
すずしろ
すずしろは大根の葉ですね。100gに含まれる栄養成分は
エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 |
18kcal | 2g | 0.2g | 3.3g | 2.6g |
【ビタミン】
ビタミンA | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | 葉酸 | パントテン酸 | ビタミンC |
380μg | 1.5mg | 220μg | 0.07mg | 0.15mg | 0.5mg | 0.22mg | 130μg | 0.39mg | 49mg |
【ミネラル】
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン |
41mg | 340mg | 170mg | 25mg | 43mg | 1.4mg | 0.4mg | 0.05mg | 0.23mg |
大根の葉にも多くの栄養が含まれています。大根自体 体に良いことが知られ、「大根おろしに医者いらず」や「大根ある家に病なし」と言われていて、栄養価が高いことが昔から知られています。
もちろん大根の葉も栄養たっぷりで、消化促進やせき止めなどの効果があります。
胃腸に優しいし風邪にも強くなる
七草は栄養たっぷりで、消化を助けたり胃腸を改善したりと胃腸に優しい効果を持つ草が多かったです。
それだけでなく、この時期になりやすい風邪にも強くなる働きがあり、免疫力を向上したり、咳痰を止めたりする効果もあります。
昔の知恵のスゴさを改めて実感しました。